このページでは、ファーストピアスを開けてから安定・完成した「ピアスホール」になるまでの
- ピアスホールの安定・完成までの最短期間は?
- 安定・完成の見分け方
- 消毒はなぜダメなの?
- 浸出液・肉芽ってなに?
について説明していきます♪
ピアスホールとは
体にピアスを貫通させることを「ピアッシング」
ピアッシングでできた穴を「ピアスホール」と呼びます。
耳たぶの断面で説明します(/・ω・)/
ピアスホールの安定・完成って?
ピアスホールを開けたばかり、まだピアスの周りは剥き出しのお肉(生傷状態)です。
ここにトラブルなく順調に薄い皮膚が出来てくることを「安定」
しっかりした皮膚になることを「完成」と呼ぶことが多いです。
安定は最短1か月~
「弱い皮膚ができた頃」を安定とよぶなら、1か月ぐらいが最短だと考えてください。
安定・完成の目安は?
- ホールの周囲が窪んで見える
- 穴の中が赤くない
ことが、最大の安定の目安です。
ピアスと皮膚の隙間があるかを気にする方もおられますが、ラージホール(大きなピアスホール)じゃないと隙間は確認できないので、気にしなくて大丈夫(*^-^*)
なお、以下の項目は安定・完成していなくても、トラブルがなければ当たり前のことなので「目安」にはなりません。
- 体液・血が出ない
- 化膿していない
- 安静にしていて痛みを感じない
早くピアスホールを完成させたい!と気になって確認のためにピアスを回したり外したり押さえたり…と刺激を与えるほうが完成から遠のきます。
無理せずに優しく育ててあげてくださいね♪
早く安定させるには
- 清潔にする
洗浄をする、消毒しない - 刺激しない
回さない・動かしすぎない - 適切なピアスを着ける
大きさや形が合っている
ピアッシング後のピアスホールは当たり前ですが、デリケートです。

耳のピアスホールで何が起こっているのか、細胞目線で見ていきましょう。
ピアッシングから完成まで
ピアス穴あけ直後
とにかく血を止める期間
ピアッシングで真皮や皮下組織から出血が起こります。

出血自体は悪いものではないので、正しい対策を。
血を止める成分(血小板)などが大慌てで止血作業!
刺激でニコちゃん=サイトカインさんが発生します。
サイトカインさんは「傷を治す指令を出す成分」で、これがないと治癒がはじまりません。

実はこのサイトカインさん、消毒で死んでしまうんです。
ニードルでサイズ違いのピアスを入れたら出血しやすいのも、ピアッサーだと出血しにくいのも、この圧迫止血の関係が大きいです。
~数日間
不要なものを掃除する時期
ピアスホールには細胞やバイキンなど死骸が「老廃物」として残っています。
これでは、傷が治るのに邪魔になるので、サイトカインさんが「老廃物を食べてくれる細胞(白血球さん)」を呼び出します。
白血球さんが出入りできるように血管が広がり、一緒に「浸出液」と呼ばれる体液が細胞の間に溢れて出てきます。

この白血球さんも、消毒で動きが鈍くなるんです

耳たぶ程度だと目立ちませんが、血管が太くなるので皮膚が赤く見え、体液でふくらんで腫れて見えます。また、痛みや痒みを感じる物質も出てしまいます。
通常、数日あれば落ち着くはずです。
数日~1か月頃
安定までもう一歩!
普通のケガなどでは、お肉がくっつきあって傷を閉じるのですが、今回はピアスに邪魔をされて閉じることができません。
仕方なく、サイトカインさんが「肉芽組織の壁」(赤い細胞)を作ってピアスという異物を囲いだす作戦の指令を出します。
血管が豊富できれいなピンクや赤色です。

「えっ!肉芽!?」とピアス好きの方は思うかもしれませんが、本来の肉芽は良い奴なんです・・・。
いい肉芽は摩擦と圧迫にも弱いので、回すとか、ピアスを替えるとか、絶対NGです。
壁はあるけどしっかりしてないので、まだ安定にはもう一歩という時期。
大切に扱ってください。
過度な刺激は「邪魔な肉芽」が発達してしまう原因になります(´・ω・`)
数週間~数ヶ月
「安定」と呼ばれる時期
その名の通り「肉の芽」の肉芽さん。
コラーゲンなど色々な組織へ置き換わって、皮膚の基礎の役割をします。

また、肉芽の壁を伝って、外からも皮膚がどんどん伸びていきます。
だんだんと新陳代謝を起こして垢が出てくるので、そっとピアスを動かして洗ってあげることも大切になってきます(*^-^*)
ただし、肉芽は刺激に弱いので優しく!

皮膚がしっかりしてきたら、いよいよセカンドピアスに交換することができます☆
参考 セカンドピアスの選び方
数ヶ月~1年
完成!と言える時期
表皮が伸びてきたものと、皮膚に置き換わりつつある肉芽は、まだまだ弱い赤ちゃんの皮膚のようなもの。(もっと弱いかも)
新陳代謝を繰り返して強くなっていきます。
肉芽の部分は創収縮と言って、表面の皮膚が収縮していき、周囲の皮膚をひっぱります。
これにより穴は窪んだように見えてくるのです。

ピアス安定の目安「穴が窪んでいる」の理由ですね。
また、皮膚の足場にされた肉芽は「瘢痕組織」という硬い組織に変わります。
これを「変なしこり」と勘違いする人が多いですが、自然な反応なので、受け入れてあげてください(^^;
瘢痕組織は、ある程度は元に戻りますが、完全には復旧しません。
この瘢痕ができるときに、むりな力をかけると肥厚していき、肉芽となる可能性が高くなります。
さいごに
いかがでしたか??
傷の治りを知ることで、今のピアスホールの状態を把握して、適切なケアをしてあげてください(´▽`)
人によって期間に差はありますが、突然皮膚が出来る人はいません。
ファーストピアスが大切な理由、セカンドピアスも大切な理由。分かって頂けたら嬉しいです


マニアックなまとめ(自分用)
炎症の4(5)兆候
発赤・腫脹・熱感・疼痛・(機能障害)
0 止血期(出血凝固期) 受傷直後
●組織の損傷→プロスタグランジン・ブラジキニン(肥満細胞を刺激→ヒスタミン)の生成→疼痛
●血管の破綻
血小板活性因子:血小板の集結→サイトカインの生成、またセロトニンの分泌→血管収縮
血管内皮細胞:エンドセリンの分泌→血管収縮
1 炎症期 受傷~1週間
●血管浸透圧亢進
ブラジキニン・ヒスタミン→血管の拡張→発赤・熱感
血漿成分の浸出→腫脹
血管内の粘性増加→白血球の遊出と遊走
(白血球:好中球が細菌や不要組織を回収、アポトーシス→マクロファージが貪食→アポトーシス、リンパ管へ回収:創の清浄化)
更なるサイトカインの生成
2 増殖期 3日~2・3週間
●表皮の上皮化(創端付近2~3cm、表皮では全体、真皮では毛嚢)(受傷直後~)
表皮基底層:ケラチノサイト(角化細胞)の発生→創表面の閉鎖
(ターンオーバー:2週間で基底層から角質層へ、2週間かけて剥がれる)
●真皮・皮下組織における肉芽組織の形成
サイトカインPDGF→繊維芽細胞:創部に遊走
サイトカインTGF-βが生成→繊維芽細胞が増殖→細胞外基質の合成→コラーゲンに置換(肉芽形成)
●真皮・皮下組織における新生血管の形成
サイトカインFGF、VEGF→血管内皮細胞:創部に遊走しコラーゲンの構造内に毛細血管を形成(良性肉芽の形成)
3 成熟期(再構築期) 2・3週~数ヶ月
●肉芽組織の置換
サイトカインTGF-β→コラーゲンの再建(リモデリング)→瘢痕組織の成熟
●創収縮
消毒→サイトカイン、白血球の障害
乾燥→白血球の働きが制限
肉芽組織は乾燥、物理的刺激に弱い→湿潤環境・安静・減圧
参考元
創傷治癒過程における炎症期の重要性 – 高岡駅南クリニック-高岡市医師
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1 – 日本皮膚科学会
創傷の治癒過程